過去のお知らせ

「昭和天皇拝謁記」第六巻が本日(12月23日)発売となりました。本巻は拝謁記ではなく、田島道治が宮内庁長官を務めていた時期の日記です。田島の日記は加藤恭子氏の著作ですでに一部が紹介されていますが、より詳細かつ精密な翻刻となります。読みどころは色々ですが、たとえば1952年の昭和天皇の「おことば案」の作成過程を拝謁記とあわせて丹念に追っていくのも興味深いかと。本巻p146(1951年2月)からAbdi(abdication=退位)のワードが登場します(「おことば案」作成過程は第三巻の冨永望先生の解説もご参照を)。今回、日記の翻刻が出たことで、かつて拝謁記と日記を混同されていた方もご納得いただけることと思います。そして次回はシリーズ最終巻の第七巻、こちらも乞うご期待。(2022年12月23日)

「昭和天皇拝謁記」第五巻が8月26日に刊行されました。初代宮内庁長官田島道治のこの記録、巻を追うごとに読みごたえが増していくように思います。時間が経つほどに昭和天皇の田島への信頼度が増し、より本心を吐露する傾向になるからかと。たとえば本巻p6(1953年5月5日条)、昭和天皇は再軍備の必要性をこう語ります。
「再軍備など不都合だといふが、世の中にどろ棒がなければ警察は入らぬが、事実泥棒のある以上は警察がなければ誰れも安心出来ない。侵略する国家がないとの確乎たる前提あつての軍備反対ならば別だが、国内的に泥棒がないといへないと同様に軍備は入らぬといふ事は尤もだが、現に中共のやうな侵略の現実に接する以上、軍備はなしには出来ぬものと思ふかネーとの仰せ」
それに対し平和論者の田島はどう答えたか(彼が平和論者であることは戦後書いた文章から確認できます)。どうぞ本を手にとってご確認ください。 (2022年8月29日)

「昭和天皇拝謁記」第四巻が本日(6月9日)発売となりました。瀬畑源先生の解説では、今回田島家で新たに見つかった秩父宮書簡について書かれています。(2022年6月9日)

「昭和天皇拝謁記」第三巻が本日(4月5日)発売となりました。この巻のメインテーマは「おことば」案ですが、拙著『終戦史』207~で「「陸軍・早期講和派」の筆頭格」としてフォーカスした松谷誠氏が登場することも要注目です(同氏は第2巻にも登場しています)。この時期、松谷氏が宮中、昭和天皇と関係していたことはこの拝謁記で始めて明らかになりました。「松谷〔誠、元陸軍〕大佐が久し振りで訪ねてくれまして、一時間半斗り話をきゝました。〔中略〕日本としては国際連合、殊に米国中心に之と歩調を合せて防衛を考へねばならぬ事。好むと好まざるとを問はず再軍備である事。その為には少くも今年末には憲法改正の要ある事。日本防衛隊として北海道、九州には師団制度のもの、本州四国には県毎の小規模のものといふやうな事。航空軍主力、海軍も陸軍も従たる事。平素は食糧、戦時は制空権、海はアメリカに頼む外なき事。統率権の問題は大統領の如く四年ときまらぬ首相ではおかしいといふ理論の出る為、陛下にといふ議論出てもそれは御乗りにならぬ事など言上す。此日の上奏中、松谷の話一番御興味あり〔以下略〕」(p79、1952年2月16日条)(2022年4月5日・翌朝修正)

「昭和天皇拝謁記」第二巻が本日発売となりました。1950(昭和25)年10月から1951(昭和26)年10月までが収録されており、「講和となれば、私が演説といふか放送といふか何かしなければならぬかと思ふが、その事を考へてくれ」(p52、1951年1月24日条)と、いよいよ「おことば」についての検討が開始されます。河西秀哉先生の解説も読みごたえがあります。ぜひ書店で手に取って、昭和天皇と田島道治のナマの会話にふれてみてください。(2022年2月4日)

■初代宮内庁長官・田島道治の記録「昭和天皇拝謁記」の公刊が2021年12月から始まりました。私も協力しています。岩波書店から日記や関連史料もあわせて全7巻。史料集ですが各巻定価3300円(税込)と手の届きやすい価格設定になっています。この第一級史料を多くの方にご覧いただき、歴史研究に役立てられることを願っております。(2022年1月4日)

■2019年11月8日から、はてなブログで3つめのブログ「転がる石はまろくなる。」もはじめています。日常のなんでもない出来事などを綴っていこうかと。(2019年12月29日)

■2018年2月12日から、はてなブログで日本近現代史系公開めも書きブログ「うにゃにゃ通信」もはじめました。(2018年2月28日)

■数年前から僕は、「頑張る」というコトバの歴史的変遷や時代との連関、日本社会における意味などについて、明治以降の文献を手がかりに調べていますが、そこから見えてきたことをブログに書きました。→頑張るという美徳:自己犠牲を期待する圧力が時に僕らを縛りつける - 日本近現代史の空の下で。 (2018年01月14日記、01月16日修正)

■ 2017年9月21日から、はてなブログでブログ開設しました→「日本近現代史の空の下で。─過去に向きあう。未来を手に入れる。」。これまで独自ドメイン、独自サーバー、自らサーバーに設置するブログやフォーラムにこだわってきましたが、技術上・運用上の限界を感じたので、ブログサービスへの依存に方向転換しました。以後、こちらのブログをメインに、原則週一回、木曜夜に更新していきます。それにあわせ、当ページも近々アップデート予定です。(2017年9月23日記、2017年12月02日改)

フォームメールのページの説明文を修正・追記しました。(2016年10月25日)

■吉見直人が主宰するフォーラム「frat.jpフォーラム」をオープンしました。まずは一年前に刊行された拙著『終戦史』に関するフォーラムから。表層的、属人的になりがちな今のネット言論へのアンチテーゼでもあります。メインストリームをねらうつもりはさらさらなく、むしろネット空間の「場末」を目指します。あ、目指すまでもないか。(2014年7月31日)